Quantcast
Channel: Canceller
Viewing all articles
Browse latest Browse all 39235

"年末の渋滞に巻き込まれたタクシーの中で、運転手さんから聞いた話です。 運転手:「いやぁ、男って悲しい生き物ですよ。」 僕:「何ですか、急に?」 (以下、その順番) 「この前、夜、歌舞伎町でお水の..."

$
0
0

年末の渋滞に巻き込まれたタクシーの中で、運転手さんから聞いた話です。

運転手:「いやぁ、男って悲しい生き物ですよ。」

僕:「何ですか、急に?」

(以下、その順番)

「この前、夜、歌舞伎町でお水の女の子を乗せたんですよ。」

「ええ。」

「行き先聞いたら、町田って言うんですよ。」

「へぇ。」

「それで、店のお客さんらしい男が、見送りに来てて、『運転手さん、幾らくらい?』って訊くんですよ。で、そうですねぇ、なんつってたら、女の子が自分で、『いつも、2万円くらいだけど、……』って言って、私に目で合図するんですよ。」

「ほぉ。」

「そしたら、その男もカッコつけちゃって、『じゃあ、足りないといけないし、これで』って、2万5千円渡したんですよ。」

「このご時世に。」

「フツーのサラリーマンみたいな、まあ、40代ですかね、見た目的には。そんな人ですよ。」

「それで?」

「それで、こっちも、ラッキーと思うじゃないですか、町田だから。」

「そらそうですよね。」

「ね、そう思うでしょう?」

「あ、分かった。新宿駅まででいいとか言うんでしょ、電車で帰るからって。」

「いや、それならまだ良いですよ。ワンメーターだけ乗って、そこの角曲がってって言うんですよ。歌舞伎町ですよ、まだ。で、ケータイで誰かと話してるんですよ。『着いた、着いた!』とか言って。」

「(笑)」

「で、ワンメーターなのに1万円渡されちゃって、これしかないのーって、これがまたかわいい顔で言うんですよ。それで私も、あー、良いですよー、なんつって、9千幾らおつり渡して。そしたら、次に乗ってきたお客さんが、また万札で。」

「本当は、その子も、中野坂上あたりに住んでたりしてね。」

「いや、もっと近くなんじゃないですか。歩いて帰れるくらい。」

「押しかけられても困るでしょうしね。自己防衛の意味もあるんですかね。」

「頭いいんですよ、男より。」

……と、そんなような話でした。



- タクシーの中での与太話 - 平野啓一郎公式ブログ (via otsune) (via kogure) (via yaruo) (via gainersanga)
2009-12-26 (via gkojay) (via petapeta)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 39235

Trending Articles