新たな事実が次々に報じられ、現状が浮き彫りにされているにもかかわらず、米国Appleはいまだに「iPhone 4」のアンテナには問題はないと抗弁して失笑を買っている。
米国のWebサイト、Boy Genius Reportが公表した、AppleCare代理店への社内メモと思われるドキュメン トからは、Apple本社が「死んでも事実を否定する」という姿勢でいることがわかった。同ドキュメントは顧客サービス担当者に対し、iPhone 4の受信感度がこれまでのiPhoneの全バージョンよりも大幅に改善されていること、どの携帯電話でもアンテナ部分を覆ってしまえば信号の送受信力は弱 まること(つまりアンテナ部分を覆ってはいけない)、オプションで販売されている「Bumper」などのケースの無料配布はしないことを強調するよう指示 するものだった。
Appleのこうした主張はいずれも間違ってはいない。だが、彼らは問題の全容には触れていないのである。
6月30日、米国のWebサイト、AnandtechはiPhone 4のレビューを発表したが、その中には詳細なアンテナ・テストの結果も含 まれていた。AnandtechはiPhoneを改造し、信号強度を数値的に読み出せるようにしたうえで、アリゾナ州ツーソンの6か所でiPhoneをさ まざまな持ち方で使用するという信号実験を行った。ついでに、「iPhone 3GS」と 米国GoogleのAndroidベースのスマートフォン「Nexus One」(製造は台湾のHTC)に関しても同様のテストを実施している。
確かにiPhone 4は、「Bumper」ケースを装着していない場合、ほかの携帯電話よりも信号の減衰が大きかった。iPhone 4を普通に持って使用しても、ほかの携帯電話を手の中にきつく握り込んだときより信号が弱くなったという。
しかしながらAnandtechは、AppleがiPhone 4の信号受信機能を全体的に改良したこともまた確かであるという重要な事実も明らかにした。アンテナが1本しか立たない場所で、しかもiPhone 4をケースに入れず強く握った状態で1日中使用しても、通話が途切れることはなかったそうだ。またある場所では、iPhone 3GSはつながらなかったが、iPhone 4では通話ができた。とはいえ、信号の減衰はやはり問題であり、防護コーティングなどを施して対策を講じるべきだったとAnandtechのレビュアーは 述べている。
同レビューはデータへの影響には言及していないが、PC World米国版のマーク・サリバン(Mark Sullivan)氏がサンフランシスコ周辺で個人的にテストしたところ、5か所中4か所で、iPhone 4を左手に持って使うとデータの送受信スピードが著しく低下したという。
著者の得ている感触では、多くのユーザーが、一定の持ち方でiPhone 4を使用した場合に信号強度が減衰することに不満を持つのではなく、信号受信のクオリティが高くなったことを同デバイスの長所として評価しているようだ。 だが、Appleがこれまで率直さを売りにしてきた企業ではないとはいえ、iPhone 4には何の問題もないとするのはやはり不誠実と断じざるをえない。
余談になるが、Appleは6月23日に3種類の求人広告を出していた。どの広告も、「すぐれた放射性能を有する無線携帯端 末に最適なアンテナを設計」できる人材を探すものである。単なる偶然なのかもしれないが、そうだとしたらなんともタイミングの悪いことだ。
”- アップル、iPhone 4のアンテナ不評を払拭できず : [特集]iPhone/iPad - Computerworld.jp (via tarl-14) (via tohya) (via nemoi) (via mnak) (via ipodstyle) (via yaruo) (via scarecrowbone) (via petapeta)